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ツガミ、つがみ、栂海新道!(後半)


「菅野様御一行様、朝食の準備が整いました」という館内放送に、待ってましたとばかり食堂へ。今日は長丁場なので、朝食をしっかり食べてから出発することに。昨夜に引き続いておひつのご飯をお代わりして、朝からみんなとっても元気です(笑)

まさに台風一過となった三日目。めざす犬ヶ岳もよく見えています。「今日はいい天気だから、写真を撮ったりとついついのんびりしたくなるけど、行程が長いから寄り道しすぎないようにね」と、ゆかりさん。最後まで気遣っていただきありがとうございます。

三日目のスタート!

 小屋前で、ゆかりさんと一緒に記念撮影。さて、いざ出発!

水平歩道の分岐から、朝一番の朝日岳への登りがスタート。まずはエンジンがかかってくるまでじっくりじっくり。昨日は見えなかった剱岳方面の山並みが姿を現し、テンションアップ! するとそこへ「行ってらっしゃーい、気をつけてー!」という声が。んん? なんとなんと、朝日小屋のスタッフのみなさんが外に出て手を振ってくれているではないですか! テンションますますアップ!! カメラの望遠機能を駆使して写真を撮るみなさん。するとその様子を察したのでしょう。「早く行け〜」と(たぶん。苦笑)。本当にお世話になりました。

360度の展望が広がる朝日岳の山頂を経て、吹上げのコルへ。右にルートを取れば五輪尾根から蓮華温泉。だけど私たちは直進。いよいよ栂海新道から日本海への縦走の始まり始まり。

いよいよ栂海新道へ!

 いよいよ、打ち抜きの看板が登場!

秋の深まり

 いい感じに秋が深まってきているのを感じます

照葉ノ池、アヤメ平、黒岩平と、基本下り基調の気持ちいいスポットが続きます。昨日の天気があまりにもあまりだっただけに幸せ感半端ありません。黒岩山から先、昼寝をしたくなるような広々とした湿原から細尾根のアップダウンのある道へと様相が変わるので、一息入れてお弁当タイムとしました。

本日のお弁当

  ますとくるみの笹寿司。疲れた身体に嬉しい酢飯です(一個250円)

「栂海山荘って、まだあんな先なんだ」、「いやもうそこでしょ」と、みなさん思うところは人それぞれ。今日は展望が効き過ぎる分だけ、先が見えすぎちゃってますね。上り下りを繰り返し、北又ノ水場へ到着。ここで栂海山荘と明日の前半で使う水を汲みます。ズシッと重みを増したザックを背負い、さてここは頑張りどころです。そんな頑張っている私達を応援してあげようという粋な計らいでしょうか? なんとブロッケンが! 疲れがぶっ飛びました。

 キャーキャーと大感激でした

三日目最後のピーク、犬ヶ岳の山頂に立って写真を撮っていると、「おーい!おーい!」という呼び声が。栂海山荘までの荷揚げという大事なお役目とともに上がってきた松井Gが手を振っています。あと少し。一昨年はなかった小野健さんの碑を拝み、15時40分、無事に栂海山荘へと到着しました。

栂海山荘

 栂海山荘、もう目と鼻の先です(犬ヶ岳山頂より)

ぶじに到着しました

 10時間行動、頑張りましたね!

そしていよいよ、縦走も最終日。暗いうちから起き出し準備をして、日本海をめざして出発することに。「寝具は十分に用意してあるから、シュラフだマットだと重荷を背負い過ぎずにね」と、この小屋を管理するベニズアイ山岳会のかたの言葉通り、まさに山積みになった毛布を使わせてもらい快適な一夜を過ごさせてもらいました。どうもありがとうございました。

いざ、日本海へ!

 いざ、日本海へ!

本日は歩き始めから急な下りです。疲れもたまる最終日、一歩一歩慎重に。少しづつ高度を下げていくと、ブナの白い木肌が目につくようになりました。冬場、雪庇が大きく張り出す新潟県側は急傾斜、かたや富山県側はなだらかなブナの森。この対比が面白いです。

熊の爪痕残るブナの幹

 熊の爪痕残るブナの幹

ブナの森から注ぎ出る黄連の水場で喉を潤し、もしやアンモナイトでもと淡い期待とともに菊石山を通過して、もうひとつの避難小屋が立つ白鳥山へ。ここで携帯の電波が入ったので、最新の天気予報をチェックすると、夕方16時くらいから雨予報。ギリギリ降られずに済むかな?

シキ割りの水場でリフレッシュして、坂田峠への急な下りへと突入。階段やロープなどしっかり整備されていますが、思いがけないところでつまずけば転倒・滑落の危険性があるため、気を引き締めて下って行きました。ようやくたどり着いた坂田峠にて、最終の意思確認。万が一に備えて車を上げておいたので(台風の影響で坂田峠手前まででしたが)、もうこれ以上は無理という場合はここから車でエスケープが可能です。「ここまで来たし、最後までみんなで」ということで、全員で親不知へと向かうことにしました。

 坂田峠で気合を入れなおして、日本海をめざします

さて、でもじつはここからが長いのです(苦笑)。尻高山周辺で樹間から日本海をのぞき見て、疲れた気分を盛り上げると、そんな気持ちをヘシ折るかのように、糸魚川市と上越市に「猛烈な雨」という防災情報が飛び込んできました。日本海側にできた低気圧から伸びる前線の通過により、かなり雨脚強い降りとなり、雷も鳴り始めました。今回は雨で始まり、雨で終わるか……。二日目同様、部分的に沢と化した登山道を進みます。水気を増した粘土質の下りでは特に気を使い、そろそろ疲れがピークに達するところに来てこの試練。でもとにかく慎重に下るしかありません。ソロソロと、でも一歩一歩確かに降りていると、下から「おーい!」という声が。先に車を下ろした松井Gが、大雨を心配して親不知から登り返して来たのでした。この状況下、どうしてもペースダウンせざるを得なかったラストは、ヘッドランプを点けての下山となってしまいましたが、全員揃って無事に親不知へと降り立つことができました。

長い長い4日間の大縦走、いかがだったでしょうか? 悪天候にもめげず、文句も言わず、歩き通したみなさん、本当にお疲れ様でした。そして、北又の小屋と朝日小屋のスタッフのみなさん、本当に本当にお世話になりました!

虹がかかる日本海

 海の幸で無事の下山を祝った翌朝は、すっかりいい天気。清々しい秋風渡る日本海

そして、おまけ。

  あわよくばと、ヒスイ探しにもいそしみました(笑)


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