北アルプスから日本海へ!と、うたったこの企画。昨年はみごと台風に当たってしまい、涙の中止。今年は気になる天気を早々にチェックし始めて、これはイケそうだなぁとホッとしていました。ところが! このまま日本から遠ざかるだろうと意識していなかった台風18号が突如として進路を変えて……。おいおい、なぜそこで曲がる!?と断末魔のような悲鳴をあげました(心の中だけでは止まらず、おもわず声を大にして)。なんとか進路が変わらないかと、ギリギリまで台風の様子を見ることに。また、当初は白馬大池から雪倉岳を越えていく予定でしたが、このルートだとどうしても稜線歩きが長くなってしまうので、少しでも風の影響を受けにくい北又小屋からイブリ尾根ルートに変更することを参加者のみなさんに了承してもらい、出発の前日まで判断を引っ張らせてもらいました。
台風の影響が一番出てきそうなのが17日の夕方から18日の15時くらい迄で、そのあとは回復してくる予報を確認し、とりあえず17日は北又小屋へ移動。集合した泊駅では「これで本当に台風が来るのかな?」というくらいに穏やかで、逆にちょっと気味が悪いくらい。途中から朝日岳を遠望し、なんとか明日、あそこまで上がれますようにと思いながらタクシーに揺られて行きました。
北又小屋では、台風のため予定を一日早く切り上げてきた釣り師の方達と一緒になり、夕飯にプラスしてイワナのなめろうにイワナのムニエルまでご馳走になるという贅沢な夜を過ごしました。そしてもちろん外は暴風雨。ご主人に「部屋の窓の鍵が閉まっているが確認して」と言われて二階へ上がると、おお、小屋が揺れてるよ。朝日小屋からは「これまでに経験したことがない風が吹いてます!!」と無線が入り……。下でこの荒れ具合なのだから、上はさぞかし凄いことになっているんだろうと思いながら、いつの間にが眠りについていました。
翌朝、雨は強弱を繰り返しながら降ってはいるものの、風はだいぶおさまってきていました。「今夜はもっと美味しい夕飯を作る予定だから。厳しかったら降りておいで」というご主人の優しい言葉に見送られながら朝日小屋へ向けてスタートしました。
雨対策をしっかり整えて北又小屋を出発
もちろん降られました、吹かれました
部分的に風が抜けるところもありますが、イブリ山までは基本的に樹林の尾根歩き。ブナやカエデ、ミズナラなどが強風に煽られて枝を大きく揺らしているのを見るにつけ、木々に守られていることのありがたさを感じます。イブリ山から先、夕日ヶ原から朝日小屋までは開けた地形に入っていくので、ここで濡れたインナーを着替えて身も心も一新。「まさに天上の楽園。お花畑の真ん中です」(黒東タクシーでもらった朝日岳ガイドより)という夕日ヶ原は、雨とガスで真っ白な世界。そんな中でもイワイチョウの黄色が浮かび上がってくると、悪天にもめげず歓声をあげて喜んでくれてー。なんとも嬉しいですね。最後は「見えた」「見えない」とまるで視力検査のような会話をしながら、赤い屋根の朝日小屋へと到着。私たちがたどり着いたのを察して、朝日小屋のご主人・清水ゆかりさんが出てきて到着写真を撮ってくれました。小屋内に入ると、濡れ物を拭くためのタオルと、さらに温かいお茶まで振舞ってくれて。本当にありがたいですね。
雨にも負けず、風にも負けず、頑張りました!
着替えを済ませてくつろいでいると、、、晴れてきましたよ。明日の台風一過に期待大!
そしてそして、みなさんのお楽しみのひとつであった朝日小屋の夕食。味の染みたおでんの大根、春先に40キロ仕入れて沖漬けにしたというホタルイカ、疲れた体に適度な酸味が嬉しい鳥の甘酢あんかけ、昆布〆に長芋、今日は寒かったからと冷えた体が温まるようにとあたたかい麺、「栂海新道」と、まさに私たちが明日から歩く道の名がついたきんつば、そしてなんといっても艶やかなご飯(富山県産コシヒカリ)! ウェルカムワインで乾杯をして、今日一日の疲れを癒しました。
続く